【よくわかる税務・法律情報】不動産情報

2020年12月11日

法改正によって変わった連帯保証人への対応について

2020年4月1日から改正民法、および改正民事執行法が施行されました。改正内容をふまえた連帯保証人への対応について、よく寄せられる質問を元に、ポイントと注意点を見ていきましょう。

質問① 賃貸借契約を交わす上で連帯保証人と連帯保証契約をする際の注意点を教えてください。

民法改正により、個人保証については極度額が定められました。極度額を定めるとは、連帯保証人が保証責任を負うのは契約書に明記された限度額を上限とする、ということです。

民法改正後、極度額の定めのない個人の連帯保証契約は無効となりますので、賃貸借契約書の連帯保証人の欄に「極度額:金〇〇〇万円」や「極度額:賃料〇カ月分」と記載しましょう。また、極度額には特に基準はありませんが、あまりにも高額に定めてしまうと連帯保証人の承諾が得られなかったり、公序良俗に反するものとして無効となったりする恐れがあります。国土交通省の調査資料「極度額に関する参考資料」から考えると、家賃2年分を上限とするのがよいかと思われます。

 

質問② 賃料の滞納が発生した場合、連帯保証人に請求するタイミングと注意点について教えてください。

連帯保証人は、賃貸借契約から生じる一切の債務について賃借人と同じ責任を負います。滞納が発生したら、賃借人と連帯保証人に同時に請求してもよいですし、連帯保証人だけに請求してもかまいません。

注意していただきたいのは、滞納が1年以上にも及んでようやく連帯保証人に請求するようなケースです。このような場合、金額も膨らんでいて、到底支払えないと言われることもありますので、滞納が始まったら早い段階で連帯保証人に請求することが重要です。

なお、極度額を設定した場合、連帯保証人から弁済を受けると、その分、極度額の残りが減っていきます。連帯保証人から返済を受けた場合は、その金額の累計を把握しておく必要があります。

 

質問③ 賃借人や連帯保証人に対する強制執行で滞納賃料の回収を考えていますが、手続きに関して知っておくべきポイントは何でしょうか。

いくら督促しても滞納賃料を支払わないのに、多額の貯金があったり、結構な給料をもらっていたりする方もいます。その場合は、「差押等の強制執行」により回収する方法を検討します。

「差押等の強制執行」を行うには、債務名義を取得する必要があります。債務名義とは、債務者の財産を強制的に差し押さえることを可能にする文書のことです。一般的には、裁判所から言い渡される「判決」や「仮執行の宣言を付した支払督促」などがそれに当たり、簡易裁判所などで取得することが可能です。

では債権名義取得後、賃借人や連帯保証人の財産の何を差し押さえたらよいのでしょうか。

最も効果的なのは、相手方が勤務先から支払われている給料の差し押さえです。原則として給料の4分の1を差し押さえることができますが、これまでは強制執行による滞納賃料の回収のために勤務先を調べることは難しいとされていました。

また、相手方の預金の差し押さえも効果的ですが、この場合、どの銀行のどの支店に預金されているのかを債権者が特定しなければならず、それにかかる労力が大きな負担となっていました。

今般、民事執行法の改正により、「第三者からの情報取得手続」が新設され、金融機関による預貯金等の調査が容易になりました。債務名義を有している債権者が裁判所に申し立てることによって、銀行等の金融機関に対し、裁判所が債務者の預貯金債権の存否やその金額等の情報提供を命ずることができるようになったのです。

また、財産開示手続も拡充され、債権者の申し立てにより、裁判所が債務者を呼び出し、債務者に自己の財産について陳述させることが可能になりました。従前より民事執行法に規定があったものの、今までは裁判所から呼び出しがあっても出頭しない債務者も多く、実効性に疑問がありました。

しかし今後は、債務者が正当な事由なく裁判所に出頭しない、または虚偽の陳述をした場合などは、6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられることになり、相当な心理的強制力が働く制度になりました。

これらは、滞納した本人だけでなく、連帯保証人に対しても適用されます。

強制執行を行う場合は、こういった制度を利用して、債務者が有している財産についての情報を得るようにしましょう。

 



弁護士 尋木 浩司  たずのき こうじ

ことぶき法律事務所 所長

兵庫県で生まれ、福岡県で育つ。中央大学法学部卒。1997年司法試験合格。2000年東京弁護士会登録。同年、ことぶき法律事務所に入所し、2011年所長に就任。弁理士資格も持つ。週刊住宅新聞にて「Why Not」の連載を担当するなど、不動産賃貸に関する著作(連載)が多数ある。

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