【B.LEAGUE×ハウスメイト】 インタビュー

2020年12月3日

金丸 晃輔
シーホース三河 14
正確無比なシュート力は積み上げた努力の結晶

 2020102日、Bリーグの2020-21シーズンが開幕しました。
 Bリーグのサポーティングカンパニーを務めるハウスメイトでは、開幕に先立ってBリーグ選手5名にインタビューをおこない、バスケットボールに対する熱い思いや、2020-21シーズンに向けての意気込みを伺いました。バスケットボールファンの方々はもちろん、あまり試合をご覧になったことがない方も、ぜひBリーグや選手の魅力にふれてください。

2つの大記録を達成した2019-20シーズン

   精密機械、天才、あるいは変態的……。金丸晃輔の突出したシュート力を、バスケットボールファンはそう称える。実際、昨シーズンはフリースローを65本連続で沈めリーグ記録を塗り替えたり、3ポイントシュートを1試合に11本も決めてリーグ記録に並んだりと、シューターとして別格の活躍を見せた。金丸自身も、観客に見てほしいプレーに「シュートを打つところ」を挙げている。

「僕といえば、シュート以外はないと思います(笑)。シュートを打つときの体勢など、ほかの選手と違う形になっても点を取れるところに注目してほしいですね」

 フリースローのボールが美しく弧を描いてネットをゆらす瞬間はもちろん、崩れた体勢から放ったボールが魔法のようにリングに吸い込まれていくシーンも金丸ならではだ。誰もが素朴に思うだろう。なぜこんなにシュートが入るのか……と。

「態勢が悪くても入るとよくいわれるのですが、それも僕のシュートの形なんだと思います。小さいころからずっと練習で積み重ねてきた成果が試合で出ているだけで、僕にとっては特別なことではありません」

 そんな金丸でも、シュートが入らずに悩むことがあったという。

「ルーキーのときは、シュートが全然入らなくて。壁にぶつかった感じがして、同じポジションのベテラン選手にそのことを相談しました。いつも冗談をいって場を和ませてくれる人だったのですが、急に真顔になって、こう話してくれました。そのシュートは、自分で打っているのではなく、相手に打たされているんだと。いまでもはっきり覚えている、心に突き刺さった言葉です」

 それから10年目のシーズンを迎えた。どんな体勢のシュートでも、自ら放った一撃だといえるまでに、どれほどの研鑽が必要だったのだろうか。精密機械や天才といったイメージにはない、ひたむきに努力を積んだ職人的な凄みが垣間見えた。

バスケは正直、嫌いだった

 金丸がバスケットボールと出会ったのは小学5年生のとき。親や友達に勧められて部活をはじめたが、意外なことに「バスケは嫌いだった」という。

「小中学校では体力をつけるためにすごく走らされて、苦しい思い出しかありません(笑)。部活に行くのが、本当に嫌でした」

 それでも高校、大学とバスケットボールを続け、大きな成果を手にすることも増えていった。

「優勝を経験するなど、勝つ喜びを知ってから、だんだん面白くなってきました。それでプロの道に進んで、もっとバスケの面白さを知ることができたんです。あれほど嫌いだったバスケを、好きになれたのはよかったです(笑)。今後も、まだまだバスケの面白さを知っていけると思っています」

 プロに入って高いレベルで戦うようになると、バスケットボールの未知の魅力に気づくとともに、多くの壁にぶつかった。

「そのうち壁を乗り越えることも楽しくなって、いまでは快感になりました(笑)」

 ベテランの域に達したいまでも、壁があらわれては、それを乗り越える日々だという。

「昨シーズンも途中まで結果が出ず、チームをどう立て直すのか、本当に悩みました。しかし、チームを立て直す以前に、僕自身が持ち味を出せていないことに気づいたんです。自分の武器である3ポイントシュートをあまり打てていなかったので、とにかくシュートを試みる回数だけでも増やすことを心がけました」

 金丸が積極的に3ポイントシュートを打つことによって、チームも年末から9連勝をするなど、波に乗ることができた。

「シュートが入ればもちろんOKなのですが、外れた場合も味方がボールを取れば、もう一度攻撃のチャンスが生まれます。やっぱりシュートを打たないとチームのリズムが悪くなるんです」

 この意識が、冒頭で述べたフリースローのリーグ新記録や3ポイントシュートのリーグタイ記録につながる。

「とにかく打たなければ、入るシュートも入りません。結局は気持ちの持ちようでした」

 こんなセリフをさらりといえるシューターが、ほかにいるだろうか。しかし、さすがの金丸も、フリースローの連続成功が60本を超えたあたりから、プレッシャーを感じたという。

「打ちたくないな……と思いはじめました。フリースローはボールを渡されてから5秒以内に打たないといけないのですが、5秒では気持ちの整理がつかないという状況はありましたね。とうとう66本目に外してしまいましたが、肩の荷が下りたというか、逆にすっきりして、これで何本も外せるなと楽になりました(笑)」

 個人としてもチームとしても状態はさらに上向いていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりリーグは中断。そして2020315日、約1カ月ぶりにリーグ戦が再開された直後の試合で、金丸は3ポイントシュートのリーグタイ記録に並ぶ。無観客試合での快挙だった。

「僕は多少ざわついていたほうが、気が紛れるタイプなんです。フリースローを打つときに相手チームのブースター(熱心なファン)からブーイングが飛んできても、自分が決めれば静かになるという捉え方をしているのですが、この試合ではしんと静まり返ってしまい、非常にやりにくかったですね」

 もし観客がいれば、どれほどの歓声が金丸に送られていただろう。

「シュートを決めたときの歓声を楽しみにしているので、それがないのは寂しかったですね。試合後すぐにシーズンが打ち切られてしまったのも悔しい限りです。タラレバになりますが、もしシーズンが続いていれば、チームとしても個人としても、もっと上に行けたんじゃないかと思います」

 2020-21シーズンを31歳で迎えた金丸は、「いまの目標は、少しでも長く選手でいること。また歓声のなかでシュートを打ちたい」と前を向く。ブーイングが歓声に変わる瞬間を、今シーズンもたくさん見てみたい。

プロフィール

金丸晃輔(かなまる・こうすけ)
1989
年、福岡県生まれ。192㎝、88kg。福岡大学附属大濠高校ではインターハイの準優勝に貢献。明治大学を経て、JBL(当時)のパナソニックトライアンズに入団。13年からアイシンシーホース三河に所属し、Bリーグ発足後も主力として活躍。Bリーグ初年度より4年連続シーズンベストファイブを受賞し、2019-20シーズンはフリースローと3ポイントシュートのBリーグ記録も達成。

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