社宅情報【社宅規定×運用】

2021年4月6日

第1回 基準賃借料について

社宅の規定と運用を考える社宅規定の運用や設定値の妥当性について、お悩みになっている社宅担当者様から、日々多種多様な多くのご相談を頂戴します。
このカテゴリでは、様々なデータや記事を、ハウスメイトが培った豊富な実務経験を元に読み解き、社宅の規定や運用について、お役に立てる情報を発信していきたいと思います。

社宅担当者様からのご質問で『他社様はどうやっているの?』というワードがよく出てきますが、第1回は、福利厚生分野の専門機関である株式会社労務研究所が発刊する『旬刊福利厚生』の最新アンケート結果(民間企業77社対象・2021年度版)を元に、基準賃借料(=社宅規定で定める基準となる賃料)について見ていきましょう。

本当に難しい!基準賃借料の設定

基準賃借料をいくらに設定するのかは非常に難しい問題です。

多くの場合、

・エリア
・家族数や住宅規模
・職階

といった代表的な要素の組み合わせで設定されるケースがほとんどですが、特にエリアは、同一市内であっても『勤務地がどこの住所か』によって求められる社宅の賃料帯が変わってくるため、該当エリアの平均値をそのまま用いる訳にもいかないのもネックです。
また改定の際も、既契約の社宅規模や入居者との公平性を考慮しながら最新の事情を勘案しなくてはいけません。
適切な基準賃借料を設定しないと、

(高額の場合)社宅コストの増加

(低額の場合)入居者負担額の上昇、社宅の物件ランクの低下 →従業員満足度(ES)の低下

と悪い影響が発生してしまいます。
ここで『旬刊 福利厚生』のアンケート結果を見てみましょう。

基準賃借料のアンケート結果

家族数別の基準賃借料

01-01_家族数別の基準賃借料

住宅規模別の基準賃借料

01-02_住宅規模別の基準賃借料

表中の名古屋~沖縄は勤務地がある程度推測できるので腹落ちしやすい数字ですが、首都圏と京阪神は広域過ぎてなかなか平均値だと捉えづらいですね。

色々な業種の企業様のお部屋探しを手伝っておりますと、様々なパターンの基準賃借料設定を拝見するのですが、首都圏を例にとると、大きく『首都圏』と分けて設定される企業様もあれば、『東京23区、横浜市、それ以外の一都三県』等、同じ首都圏でも細分化して別の設定を持たれている企業様もございます。

このエリアをどう細分化するかの設定は、各企業様の拠点エリア分布によるので大変難しいのですが、傾向として拠点数が非常に多い企業様(小売業等)は、より一層細やかなエリア設定をしているケースが多いです。

また、何かあった際に勤務地まですぐアクセスできる必要がある企業様(警備業等)の場合は、勤務地が都市部によっていたりすると、高めの基準賃借料を設定されていたりも致します。

次に、『基準賃借料を超えた物件の入居を認めるか否か、認める場合は超過分の賃借料をどのように扱うか』のアンケート結果を見ていきましょう。

基準賃借料を超過した時の超過分賃料の扱い

01-03_基準賃借料を超過した時の扱い

割合が少ない方から見ていきましょう。

『一部入居者負担』の場合、超過分に会社で定める係数をかけ入居者負担額を求めるケースが多いのですが、実務や計算式の煩雑さから、その方式を取られている企業様は少ないようです。

『超過物件への入居は不可』と回答されている企業様が16%と、弊社の肌感覚からすると多い結果でした。
このケースは、公平性の担保という点では一番強制力がありますが、基準賃借料をしっかり設定・改定しないと、従業員満足度の低下を招いてしまうので注意が必要です。
また、全国のお部屋探しの手続きをしておりますと、

特殊要因があってこのエリアの物件が少ない!→同エリアの賃料が上昇!

といった困った事例(例:大規模災害、企業拠点の移設に伴う人口増等)もたくさんお見受けします。
基準賃借料と地域毎の賃料相場がどうしてもマッチングしない場合は、超過物件の入居は不可としながらも、事例毎に超過の可否を判断される場合がほとんどです。

最後に『全額入居者負担』、このケースが一番多く8割を超えました。
このケースは、ご入居者の『自分の負担額が高くてもいいからこの物件に住みたい!』の要望と、社宅担当者様の『公平性を担保しながら、なるべくコストを抑えねば!』の責任が両立するので、納得の結果でした。

なお、全額入居者負担の場合、

①超過した場合は企業側で内容を確認の上、承認の可否を判断されるケース
②ご入居者が納得しているなら承認は不要で、そのまま手続きを進めるケース

の2パターンがあります。
①の場合、選択した物件の公平性は担保されますが、デメリットとして、社宅担当者様の業務負荷の増加と、決裁中に該当物件が他の入居者で決まってしまうリスクがあります。
他の入居者で決まってしまうと、物件探しからやり直しになりますし、特に引越シーズンですと内見時の第2・第3希望の物件も決まってしまっているケースもございます。内示日から着任日までタイトなスケジュールのことも多く、また社宅規定で赴任旅費の支給回数を定めている企業様も多いので、 決裁のスピードが鍵になります。

②の場合、一般的に借上社宅としてみなされるには『会社の社宅基準に沿って会社が社員に提供する住宅』が条件となりますので、物件紹介時に社宅基準に則ったお部屋をご紹介していることが前提となりますが、社宅担当者様の業務負荷は軽減され、かつ①の様な決裁中に該当物件が他の入居者で決まるリスクは回避できます。
当社のクライアント企業様も、②のケースで運用しているケースが大半でございます。
一方、礼金や更新料等、家賃金額を基準に設定される項目のコストが増加するケースが予想されますが、社宅規定上で「基準賃借料を超過した場合の礼金や仲介手数料の超過分は入居者個人の負担とする」と定め、 社員間の公平性を担保しながらコスト増を抑えているケースもよくお見受けします。

 

第1回目、いかがだったでしょうか?

次回は『この項目、会社負担?入居者負担?』について取り上げたいと思います。

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