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2022.04.01
【知り隊!会社訪問】 インタビュー 株式会社リンガーハット様
総務人事チーム 部長 田川 裕介さん
広報担当 三宅 久美子さん
広報担当 愛川 真由さん
野菜たっぷりのちゃんぽんで、みんなを元気にしたい
2022年、創業から60周年を迎えるリンガーハットグループ。同社を象徴する商品「長崎ちゃんぽん」も50年近い歴史を持ち、長年のファンだという読者もいるのではないでしょうか。今回はリンガーハットの多くの店舗で店長を務めた総務人事チームの田川裕介さんと、広報の三宅久美子さん、愛川真由さんに、その歩みや魅力についてお話を伺いました。
とんかつ店からはじまったリンガーハットの歴史
リンガーハットといえば、ちゃんぽんや皿うどんが頭に浮かびますが、そのルーツは「とんかつ」にあるといいます。
田川:当社は1962年に、長崎市の鍛冶屋町で「浜かつ」として創業しました。その流れを汲む「濵かつ」は現在、九州を中心に80店舗ほど展開しています。リンガーハットがとんかつ店からスタートしたと聞いて、驚かれる方は多いですね。
愛川:長崎ちゃんぽんを扱う専門店は1974年に誕生し、現在のリンガーハットになっています。昔はロードサイドの店舗が中心だったのですが、現在ではビジネス街のビルの1階やショッピングモールのフードコートにも多く出店し、全国で約600店舗を数えます。
三宅:リンガーハットの一部店舗では、とんかつ濵かつのメニューも提供しています。創業から手がけているとんかつを、リンガーハットのお客様にも味わっていただきたくて。ランチはちゃんぽんや皿うどんを食べて、夜はとんかつ定食を味わうといった形で、いろいろなおいしさを楽しめます。
同社では「リンガーハット」「濵かつ」のほかにも、「とんかつ大學」「長崎卓袱 浜勝」といったお店を展開しています。
田川:「とんかつ大學」は「濵かつ」と同じ食材を使っており、高品質なとんかつをフードコートなどで手軽に味わうことができます。
三宅:「長崎卓袱 浜勝」では本格的な卓袱料理(長崎発祥の郷土料理)を提供していて、地産地消を1つの特徴にしています。たとえばクエという高級魚は、東京など都心へ出荷されることが多く地元でもなかなか口にできないのですが、当店では予約なしで食べられます。
愛川:「長崎卓袱 浜勝 オンラインショップ」でも、当地ならではの多彩な料理をお求めになれますので、ぜひご利用ください(笑)。
ちゃんぽんを日本中で愛される「日常食」に
同社は郷土の味を大切にする一方で、長崎のちゃんぽんや皿うどんのおいしさを全国の人々に知ってもらうために、さまざまな工夫をしたといいます。
三宅:長崎のちゃんぽんは、日本に砂糖文化が広まった「シュガーロード(長崎街道)」がある土地柄のせいか、もともと甘味が強かったんです。調理に使う油もラードを使っていて、しっかりした味付けという印象がありました。もちろん、そんな伝統的なちゃんぽんもおいしいのですが、リンガーハットでは毎日でも食べられる日常食にしたくて、甘さを控えめにしたり、ラードを植物油に変えたりして、現代風の味わいにしたんです。
田川:いまや本場長崎でも受け入れられているようで、当地へ旅行に訪れた方が「おいしいちゃんぽんの店を教えて」とガイドさんに尋ねたところ、リンガーハットを案内されたという笑い話を聞いたことがあります。
愛川:ちゃんぽんも皿うどんも、日常食として老若男女に楽しんでいただける味わいですが、自分好みに「味変」する人も少なくありません。九州では皿うどんにソースをかけて食べる方が多いのですが、私はいつも酢をかけています。もともと酸味が好きなので、たくさんかけてしまうのですが、それでも酸っぱくなりすぎず、皿うどんの旨味と不思議に調和するんです。
三宅:私は辛いのが好きなので、ちゃんぽんや皿うどんに辛味を少しプラスします。ひき肉と辛味噌を和えた「自家製ピリカラ味噌」は、隠れファンの多いトッピングです(笑)。
田川:ほかにも、柚子こしょうやしょうがの「ちゃんぽんドレッシング」をかけたり、半熟卵をトッピングしたりと、アレンジを楽しむお客様は多いですね。
国産野菜100%に込めた思い
ちゃんぽんや皿うどんを日常食にするため、同社では国産の野菜を使うなど、安心・安全な食材にこだわっています。
愛川:2008年から野菜の国産化に取り組み、1年かけて「100%国産」にしました。その後、麺に使う小麦やぎょうざの主原料も国産に切り替えています。
田川:私は当時、リンガーハットの店舗で店長を務めていたのですが、アルバイトを含むスタッフ全員に国産野菜を使う意義を説明するなど、会社が一丸となって野菜の国産化を推進していました。
三宅:国産化にあたり、購買の担当者が日本中の生産地を回って、生産者の方々に協力をお願いしました。なかでもきくらげは国内での生産が少なく、流通量にしてわずか3%と当社の使用量をとても満たせない状態だったんです。いったん別の食材に置き換えたのですが、リンガーハットのちゃんぽんにはきくらげが欠かせないという声が多く、粘り強く国産化に取り組みました。その結果、鳥取県をはじめとするきくらげ産地の協力を得て、「当社専用」として増産していただいたんです。
愛川:こういった活動を通し、生産者の方々とのつながりも強くなっていきました。いまでも、生産者の方々と定期的にお会いして意見を交換したり、農作物がどう商品になっているのか工場を見学していただいたりと、密な連携をとっています。
田川:昨年には、リンガーハットビジョン2030「Ideal Dining宣言~あなたの理想の食卓へ~」を発表し、野菜の健康とおいしさを訴求して日本の農業への貢献に努める方針を立てました。その取り組みの1つとして、国産野菜100%を深化させたメニュー「彩り野菜のちゃんぽん」と「彩り野菜の皿うどん」を開発したんです。
三宅:厚生労働省が目標とする1日の野菜摂取量350gを1杯でまかなうことができ、また野菜の甘みを感じられる味付けにしています。そんな「高い栄養価」と「噛めば噛むほど深まる味わい」に加え、「目で楽しめる」というのもメニュー開発のポイントで、パプリカ、ミニトマト、小松菜、かぼちゃといった彩り豊かな野菜をたっぷり使用しました。季節ごとに旬の食材を使う予定で、四季折々の彩り野菜を五感でお楽しみいただけます。
自宅でもお店の味を楽しめる
コロナ禍における中食のニーズの高まりを受け、同社ではテイクアウトや宅配にも力を入れています。
三宅:いまは自宅で食べたいというお客様も多く、テイクアウトや宅配用に麺とスープが別々に入る容器を開発しました。電子レンジで温めれば、ちゃんぽんも皿うどんもアツアツで食べられます。ちゃんぽんの麺もテイクアウト・宅配専用に開発し、時間が経っても食感を損ないません。
田川:モバイルオーダーやドライブスルーといった、店舗でお待たせしない仕組みも整えています。
愛川:テイクアウトや宅配のほか、リンガーハットの冷凍食品も自宅で気軽にお店の味を楽しめると好評です。私はリンガーハットのぎょうざが大好きで、自宅では皮をカリカリに焼いて、おつまみにしています(笑)。そんなふうに、自分流に調理できるのも、冷凍食品の魅力かもしれませんね。
田川:冷凍食品といえば、自動販売機も話題になりました。ある店舗の店長の発案で、お店の脇に冷凍食品の自動販売機を設置したんです。実験的に1店舗でスタートしたのですが、営業時間外にお求めになるお客様も多く、2月末までに26店舗へ設置しており、今年度さらに30店舗ほど設置予定です。
ちゃんぽんや皿うどんで野菜が大好きに
お店で、テイクアウトで、冷凍食品でと、さまざまな形で提供されるリンガーハットのメニューを通して、日ごろの野菜不足を補っている人も多いのではないでしょうか。「野菜はあまり好きではないが、リンガーハットのちゃんぽんや皿うどんならおいしく食べられる」という声もよく聞きます。
愛川:当社では食育活動の一環として、リンガーハットの店舗や小学校で「ちゃんぽんづくり体験教室」を実施しています。参加してくれた子どもたちの親御さんに話を伺うと、「ふだんは野菜に見向きもしないのに、今日は夢中で食べている!」と驚きの声があがることも多いんです。※現在はオンラインにて開催。
田川:じつは私も、昔は野菜が大嫌いで、ほとんど食べられなかったんです。でも、高校時代にリンガーハットでアルバイトをして、自分でちゃんぽんをつくって食べたときに、はじめて野菜をおいしいと感じました。
三宅:私は長崎出身で、親がつくってくれたちゃんぽんをよく食べていました。私にとってちゃんぽんは、ふと食べたくなる家庭の味なんです。いまは全国どこにでもリンガーハットがあるので、いつでもちゃんぽんを食べられる安心感があります(笑)。
愛川:私は実家近くのロードサイドにリンガーハットがあったので、子どものころからよく家族で食べにいっていました。麺類にはファストフードというイメージもあり、掻き込むように食べることもあると思いますが、リンガーハットでは家族みんなでわいわい話しながら、ゆったり食事の時間を楽しんでいましたね。いま一人で食べにいっても、店構えや雰囲気はどこの店舗も共通しているので、当時を思い出して、ほっと一息つくような気分になります。
同社のIdeal Dining宣言では、野菜の健康とおいしさを訴求することに加えて、「居心地のよい店舗づくり」が大きな方針として掲げられています。野菜食を通じて、子どもから大人、子育て世代からシニア世代まで、みんなを元気にしたい。そんな場所を目指して、リンガーハットはさらなる進化に取り組んでいます。田川 裕介(たがわ・ゆうすけ)
株式会社リンガーハット 総務人事チーム 部長
アルバイトを経て1993年入社。店長や労働組合委員長などを経験し、2020年より人事業務に携わる。
三宅 久美子(みやけ・くみこ)
株式会社リンガーハット 広報担当
1998年入社。店舗勤務を経て2000年より本社で総務兼秘書業務。2008年より広報に従事する。
愛川 真由(あいかわ・まゆ)
株式会社リンガーハット 広報担当
2021年入社で広報を担当。
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