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みんなの疑問

【退室時のギモン】退室時の負担費用ってどうなるの?

【退室時のギモン】退室時の負担費用ってどうなるの?


今回は、具体的にどういった費用を負担することがあるのか順を追ってご説明します。

「解約精算」はトラブルに発展するケースも多くあるため、ぜひこの機会にご確認ください。

退室時に発生する費用

2020年の民法改正によって、「賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷について、原状回復義務を負うが、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わない」と明記されました。(※民法改正後に契約されたものが対象)

つまり、通常損耗や経年変化に対する原状回復義務は貸主が負担する(賃料に含まれる)べきと考えられますが、民法の契約の自由の原則により、借地借家法などの法令に反しない限り、「特約」によって通常損耗や経年変化に対する修繕義務などを借主に負担させることは、一定の要件を満たす場合に有効となります。これを「原状回復特約」などと表現します。

特約(原状回復特約)とは

特約…特別の条件をつけた約束という意味ですが、賃貸借契約上の「特約」を噛み砕いて説明すると、原状回復の考え方とは別に「特別な契約条件をつけた内容」と解釈すれば大丈夫です。あくまで本記事では、「原状回復特約」としての意味をご説明しており、原状回復に関する特約以外も様々な種類があります。(解約の予告期間やお部屋の利用条件など)

不動産業界では、退室時のトラブル防止のため、契約を締結する段階で「退室時に借主に負担を求めるもの」を事前に取決めておくことが多いのです。

そのため、契約時には賃貸借契約書の特約条項に経年変化や通常損耗に関する費用が借主負担となるような記載があれば、その負担費用をしっかりと認識したうえで契約することが重要です。

特約が有効となるための要件

では、「特約」を記載すればどんな費用でも借主が負担しなければいけないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。特約が有効になる要件が存在します。

 借主に特別の負担を課す特約の要件

① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕などの義務を負うことについて認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
※国土交通省HP 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より引用

表現が少しわかりにくいですが、要約すると「客観的に借主にとって著しく不利ではなく、借主がしっかりその内容を把握した上で」契約した内容は特約として有効になるのです。

法人契約の場合、個人契約の場合と異なり「会社」として承諾したかが重要になりますのでご注意ください。

よくある事例として、会社の社宅規程上で退去時の費用はすべて(もしくは一部)を従業員負担としている場合に、「従業員様が特約の内容を把握しておらず費用負担に納得ができない」ということがあります。賃貸借契約上、借主(会社)が負担するべき費用になりますので従業員様も契約の内容を確認しておくことが重要です。

具体的な特約の内容

代表的な原状回復特約の内容を一部抜粋してご説明します。

クリーニング(ハウスクリーニング)

全国的に多く見受けられるものが「クリーニング特約」です。
お部屋の退室後の、お掃除費用を借主が負担する特約です。クリーニングは一般的に専用部分(お部屋の中)を行います。
地域によっては、「室内清掃」「メンテナンス費用」「美装費用」といった表現があります。
クリーニング費用は、「契約時に支払う場合」と「退室時に支払う場合」があります。
近年、よりトラブルを減らす観点から「契約時に支払う場合」が増加している傾向が見受けられます。

エアコンクリーニング

上記クリーニングとともに、全国的に多く見受けられます。
エアコンのフィルターのみの清掃と内部洗浄(高圧洗浄)いずれかを指します。
エアコンは、特約にない場合でもフィルターの汚れなどがある場合は「清掃不良による過失」として費用を請求されることが多いです。
最低でも半年に1回はフィルターの清掃を心がけましょう。

畳表替え(畳裏替え)

和室のあるお部屋の場合、畳の表面を交換する費用を借主負担とするケースが多いです。
畳の他にも、「襖」や「障子」の張替え費用といったものもあります。

鍵交換費用(デジタルキーの場合は電池の交換費用など)

鍵の交換も契約時もしくは退室時に借主の負担としていることが多いです。
契約時に預かった鍵を紛失してしまった場合は「過失」としてさらに追加で交換費用が発生します。

上記で挙げた項目の他にも、地域によって様々な特約があります。

借主の故意・過失によって発生する費用

原状回復特約のほかに、借主の故意・過失による負担も発生します。
例えば、壁紙に傷をつけてしまったり、落書きをしてしまったりして、室内に汚損や破損を生じさせた場合の復旧費用です。
そのほかにも、「鍵の紛失」や「室内の設備の破損や紛失」なども退室時に請求の対象となるでしょう。

借主の故意・過失はどうやって確認するの?

一般的にお部屋を退室する際、「退去立会」があります。これは貸主と借主で室内の状況を確認する意味があります。
※法人契約の場合は、借主(会社)ではなく入居者様が実施することが多いです。
お引越しが終わったあと、室内にお荷物がない状態で確認を行っていきます。
基本的な考え方は以下の通りです。

入居時になかったものが退室時にある

4でご説明した通り、入居時にはなかった「傷や汚れ」が退室時にはある場合です。
つまり、入居中に入居者様の「故意・過失」によって生じたものと判断され、費用を請求されます。

入居時にあったものが退室時にない

入居時にあったお部屋の備品(取扱説明書やリモコンなどですね)がなくなってしまっている場合は、その備品を補充するために費用が請求されることになります。入居時にあったものかどうか分からないものがある場合は、物件管理者に問合せしましょう。

退去立会実施後、借主に負担を求める箇所の確認や費用の説明が行われます。
退去立会をおろそかにすると、思わぬ費用が発生しますので注意をもって対応しましょう。

退去立会が実施される場合は、現地で双方確認が行なえますが、コロナ禍においては接触防止や働き方の変化から退去立会が実施されないケースも増えてきました。

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