【暮らしに役立つ心理学】 暮らし・レジャー・エンタメ

2021年9月1日

無駄遣いの心理学

気分転換に出かけたショッピングセンターで、ウィンドウショッピングをしているうちに、うっかり無駄遣いをしてしまった……。商品を「見るだけ」では済まなくなる、そのわけは?

心理学のある研究では、物品を売買するときに、「悲しい感情」がどう影響するかを調べています。

この研究では、まず実験参加者に「映画の悲しい場面を編集した映像」か「単なるイメージ映像」かのどちらかを見せました。次に、悲しい映像を見た参加者は、自分が同じような立場だったらどう感じるかを文章にまとめました。また、イメージ映像を見た参加者は、自分の日常に関する文章を書きました。

その上で、実験参加者たちは文房具を渡され、それに売値と買値をつけるように求められました。すると、悲しい映像を見た参加者は、ほかの参加者よりも、約30%も高い値段で文房具を買うと答えたのです。また、その文房具を売るときは、ほかの参加者よりも、約33%も低い値段をつけました。

この結果から、持ち物を増やす、あるいは減らすといったように、身の回りの環境を変えることで、悲しい感情から立ち直ろうとする心の動きが見て取れます。

「恋人に振られて悲しい」「上司に叱られてつらい」といったときに、気分転換でウィンドウショッピングに出かけると、思わぬ無駄遣いにつながることも……。

一方で、お部屋をスッキリさせたいときは、悲しい映画を見てからリサイクルショップに不要なものを持ち込めば、多少査定価格が低くても思い切って手放せる、かもしれません。


無駄遣いといえば、スーパーやデパ地下などでおいしそうなご馳走を見て、あれもこれもと買ってしまったけれど、結局食べ切れなかった……なんて失敗もありがちです。

「おいしそう!」という気持ちにとらわれていると、満腹になったときの「もういいや」という気持ちを想像することはできません。

この「いまの気持ち」がもたらす影響力のことを「投影バイアス」といいます。人は、いまの気持ちがあとで変わる可能性について、少なく見積もりがちなのです。

とくに空腹のときは要注意で、実際に散財をしてしまい、あとで「やっちゃった……」と後悔したことがある人も多いのではないでしょうか。

それを防ぐには、「お腹が空いているときはスーパーに行かない」ということに尽きます。ためしに、食べすぎてお腹がはち切れそうなときに、スーパーに行ってみましょう。きっと、必要最小限のものしか買わなくなるはずです。

illustration:タダトモミ

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