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社宅の知識

【人事・総務のための福利厚生】連載⑯社宅制度の不利益変更

【人事・総務のための福利厚生】連載⑯社宅制度の不利益変更

好評連載中の「人事・総務のための福利厚生」です。社宅に関する話題をわかりやすく解説します。
私は、千葉商科大学の可児俊信(かにとしのぶ)です。

手伝っていただくのが、ハウスメイトパートナーズの三原さんです。


【前回の記事はコチラ】

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三原

三原です。今回もよろしくお願いします。本日は、社宅ご担当者様も悩まれることが多い「社宅規程の不利益変更」について教えてください。

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可児

会社は従業員の満足度の向上、コストの安定化などを目的に必要に応じて社宅規程を見直します。その見直しが従業員にとっての不利益変更とされ、規程改定が難しいことがあります。不利益変更はできないと思っている方もいらっしゃいますが、法定の条件を満たせば可能です。

不利益変更でも見直し可能

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可児

社宅規程も福利厚生も労働条件です。労働条件を社員にとって不利な内容に変更・廃止することを不利益変更と言います。労働契約法では労使合意していない労働条件の変更は原則として禁じられています。法文を掲載します。

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三原

第8条では「労使が合意すれば労働条件を変更できる」、第9条では「従業員が合意していないと変更できない」という原則論が定められているのですね。

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可児

不利益な労働条件だから変更できないのではなく、合意がないから変更できないのです。会社が勝手に変更できたら、立場の弱い従業員は困ります。従業員を守る条文です。
でも、従業員を守るだけでなく、第10条では従業員の合意がなくても労働条件を変更できるルールを定めています。

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三原

合意のない変更は原則としてできませんが、例外として認められるための条件があるのですね。条文には「合理的な見直し」であれば可能であると書かれています。

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可児

4つの要件をみたしていれば合理的な見直しとされ、合意がなくても変更できます。

合理的な見直しとは

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三原

「労働者の受ける不利益の程度」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか?

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可児

社宅でいえば、社宅使用料が大幅に引き上がる負担増や、社宅の入居要件が制限される不利益、基準賃料が引き下がることなどを指します。

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三原

仮に社宅使用料が毎月1万円、年間12万円引き上がったら、それは「不利益の程度が大きい」と判断されるのでしょうか?

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可児

いえ、一概にそうとは言えません。社員の年収だとか他の住宅補助金があるかとか、総合的に見て不利益が大きいか判断します。

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三原

次に「労働条件の変更の必要性」についてはいかがでしょうか?

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可児

社有社宅でいえば、老朽化に伴う社宅の閉鎖や取り壊しが該当します。
社宅使用料でいえば、入居希望者が増加して、会社が負担する賃料総額が増額したから社宅使用料を引き上げる、などがこれにあたります。

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三原

「変更後の就業規則の内容の相当性」についてはいかがでしょうか?

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可児

「相当性」とは、現在の状況に対して適切となっているか、ですね。さきほどの使用料の引上げでいえば、賃料が全般的に上昇していれば、使用料を引き上げて会社負担増を抑えるのは会社にとって相当性があるでしょう。

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三原

最後に、「労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」について教えてください。企業様に労働組合がない場合は、どのように進めればよいのでしょうか?

丁寧で誠意ある労使交渉を

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可児

従業員代表に対して、誠意を尽くして丁寧にしっかり説明することです。合意までは行かなくとも納得してもらいましょう。

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三原

今後の制度見直しにおいても、企業と従業員の皆様の信頼関係を損なわず、ご納得いただくことが大切ですね。

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三原

ちなみに、過半数の従業員が加入している労働組合がある企業様の場合は、どのようになるのでしょうか?

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可児

労働組合と交渉します。組合幹部は見直しに理解してくれると思いますが、一般の組合員が納得するかどうかです。

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三原

経過措置とか、既得権の一部を残すとか?

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可児

一般の組合員を最後に納得させるには、そういった措置が落としどころです。使用料を3年かけて段階的に引き上げるとか。社宅制度は従業員にとっては大きな経済的利益です。よって不利益変更だとの声も出やすいです。

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三原

まずは合理性のある見直し案を策定すること、そして従業員の皆様がご納得されるまで、誠意をもって丁寧に説明することが何より大切だということですね。企業様にとって非常に実践的で役立つお話をありがとうございました。

<次回へ続く>

可児 俊信

千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授
株式会社労務研究所 代表取締役/福利厚生専門出版社
企業や官公庁における福利厚生制度のコンサルティングを行う。福利厚生や企業年金などをテーマとした著書、寄稿、講演多数。

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