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【暮らしに役立つ心理学】新生活を彩る心理学

【暮らしに役立つ心理学】新生活を彩る心理学

ついこの間、年が明けたと思ったら、もう3月。そろそろ春の足音が聞こえてきそうですね。
4月からの新生活に向けて、気分一新、身の回りのものをガラリと変えてみようという人もいるのでは?
でも、せっかく新しいものを買おうとしたのに、結局いつもと同じような色やデザインを選んでしまった…なんて経験は、誰にでもあると思います。


心理学の面白い研究を紹介しましょう。

ある人が車を買い替えるためにカーディーラーに行きましたが、品薄のため自由にボディーカラーを選ぶのは難しいと言われました。
そこでカーナビなどのオプションだけは指定し、カラーはお任せで納車を待つことに。
2カ月後、「赤い車が入庫しました」との連絡を受け、カーディーラーに足を運んだところ、なんと同じ仕様の車が色違いで4色、展示されているではないですか。

こういったケースでは、53%の人がそのまま赤い車を選びます。
心のなかで一度「赤い車に乗る」と決めたからには、色を変えて失敗したと感じるリスクを排除したくなるのです。

このような、変化をこばむ心の動きを「現状維持バイアス」といいます。

事前に赤い車の入庫を知らされなかった場合は、赤い車を選ぶ割合が22%にまで下がることからも、現状維持バイアスがいかに強力に作用するかがわかります。
洋服を買うときはいつも同じブランドで、家電は白ばかりという人は、ひょっとすると現状維持バイアスにとらわれているのかもしれませんね。



では思い切って、いつもと違う商品を選んだ場合は、どんな気持ちになるのでしょうか?

ある心理学の研究では、市場調査という名目で実験参加者に家電の評価を依頼し、「同じくらい魅力的だ」と評価された商品のどちらか1つをお礼として進呈しました。
実験参加者にとっては、もらった商品も、もらえなかった商品も同じような魅力であったはずなのですが、しばらくしてから再評価を依頼したところ、自分がもらった商品のほうが魅力的だと評価したのです。

つまり、もらった商品は良いところに注目され、もらえなかった商品は粗探しをされたというわけです。

「自分のもの」になると、なんだかんだいって気に入るように心が動く…ということは、日々の暮らしを振り返っても、いろいろと思い当たりますよね。
新生活に彩りを加えたい人は、現状維持に逆らって、ちょっと冒険してみてはいかがでしょうか?

illustration:タダトモミ

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