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【いま注目の情報箱】エアコンを使いながら熱中症に!? 室内・車内で「隠れ脱水」を防ぐポイントを解説

【いま注目の情報箱】エアコンを使いながら熱中症に!? 室内・車内で「隠れ脱水」を防ぐポイントを解説

熱中症になるのは屋外にいるときだけだと思っていませんか?
実は熱中症とみられる症状で救急搬送される人のうち、約4割は住居など建物の中にいるという統計があります。オフィスの室内や車の中で、まさにエアコンを使いながらでも陥ってしまう熱中症は「隠れ脱水」と呼ばれるタイプが多く、原因は暑さだけではないので厄介です。室内や車内で熱中症になりやすい理由と避けるためのポイントを気象予報士で防災士の植松愛実さんに教えていただきます。

気づかないうちに水分が奪われる!? いつの間にか脱水症状に

体内の水分が減って脱水症状になってしまうのは、たくさん汗をかくためだと思われがちですが、実際にはそれだけではありません。

「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」といって、人の肌や粘膜からは常に水分が逃げ続けていますし、吐く息の中にも水分は含まれています。個人差はありますが、健康な大人が安静時に不感蒸泄で失う水分は1日あたり約900ml。
意外と多くの水分が、知らず知らずのうちに体から出ていっているのです。

汗をかけば明確に認識できるため、「汗をかいた分、水分補給をしようかな」と思えますが、「不感」つまり感じないまま水分が奪われていると、気づかないまま「隠れ脱水」と呼ばれるタイプの脱水症状になってしまうことも。脱水の状態はそれ自体が熱中症の症状として危険なだけでなく、体内の水分が足りていないと体温調節機能がうまく働かずに、体の深部体温が上がりすぎてしまうおそれすらあります。

エアコンを使えば使うほど乾燥する室内・車内

不感蒸泄によって肌や粘膜から奪われる水分は、周りの空気が乾燥しているほど多くなります。

夏場はオフィスや自宅、そして移動中の車内でエアコンを使う人がほとんどだと思いますが、熱中症を避けるためにエアコンで室温や車内温度を下げようとすると、同時にどうしても湿度も下がる傾向に。つまり「隠れ脱水」を引き起こしやすい環境をつくってしまうのです。

自宅であれば料理や入浴で家全体の湿度が底上げされるチャンスがありますが、オフィスや車内では湿度が下がる一方になってしまいます。エアコンを長時間使う日は、ときどき窓を開けて外の空気を取り込むようにしましょう。車の場合は、エアコンの設定を「外気導入」にするのも効果的です。

離れたところから直接温める!? 太陽の底力

夏は日光によって空気が温められ、その空気に触れるから暑い…、そう思う人が多いかもしれません。
ところが太陽は、そんな周りくどいことをしなくても、私たちを直接温めることができます。すべての物体には、「輻射(ふくしゃ)」といって離れたところにある物体を直接熱する働きがあるのですが、特に太陽のような高温の物体の場合はその働きが顕著です。

冬の寒い日、気温そのものが低くても、日ざしさえあれば何とかしのげる…そんな経験を持つ人は多いのでは。
これが「輻射」の力です。冬場はこの力に助けられることが多いですが、夏場は厄介。
部屋の中や車の中で適切にエアコンを使い、室温や車内温度を下げたとしても、窓から入る太陽光が私たちの体を直接温めてしまい熱中症の危険性を高めるため、油断大敵です。

対策を重視するのはどの方角の窓?

室内に入ってくる太陽光の影響を減らすため、窓ガラスに貼るタイプのシートや暑さ対策に特化したカーテンを使うと有効ですが、部屋に複数の窓がある場合、どの方角の窓の対策を優先すべきでしょうか。

直観的に「南」と思う人もいるかもしれませんが、実は夏の間、南からはあまり日ざしが入りません。というのも、夏は昼間の太陽高度が80度くらい。真上に近いような角度ですから、太陽が南側にある昼間は窓から日光が侵入しづらいのです。
そのため、重視すべきは「東」または「西」の窓。夏は朝や夕方が、もっとも太陽光の侵入を許してしまう時間帯だからです。

水分補給は「ルール」を作って!

エアコンの効いた室内や車内にいると、あまり汗をかかないだけでなくそもそも暑さを感じにくいため、水分補給の回数は無意識に減ります。そのため、ルールを決めて意識的に水分補給をすることが重要になってきます。

たとえば、何かをする「前」と「後」。打ち合わせの前と後、コピーを取りに行く前と後、取引先に電話を入れる前と後など、何かをしようとして動作に入る前後にコップ1杯の水分を取るだけでも熱中症の予防につながります。

また、水分補給の時間をあらかじめ決めておくのも効果的。喉が渇いていてもいなくても、決まった時間が来たらとにかく水分を取るようにするのです。最近はタイムマーカー付きのドリンクボトルも多く出回っていて、ボトルについた時刻の目盛りに合わせて忘れずに水分補給ができるようになっています。

なお、熱中症対策のための水分補給は、コーヒーや緑茶といったカフェインが含まれ利尿作用のあるものではなく、水や麦茶などノンカフェインのものを選びましょう。よくコーヒーを飲むという場合は、その前か後にカフェインの含まれない水分も取るようにしてください。


植松 愛実 | Megumi Uematsu

気象予報士、防災士。
NHK・民放各局の気象キャスターを歴任し、各地で親子向けお天気イベントや小中学校での環境出前授業などを担当するほか、天気の面白さや身近な防災について発信。著書『天気予報活用バンドブック~四季から読み解く気象災害』(丸善出版)。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなど保有資格多数。


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