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【暮らしに役立つ心理学】過ぎし1年をよい印象にする心理学

【暮らしに役立つ心理学】過ぎし1年をよい印象にする心理学

2023年もいよいよ師走を迎えましたね。
みなさんは今年を振り返ったときに、どんな年だったと感じますか?

「終わりよければすべてよし」という言葉があるように、これまでの印象が悪かった人も、12月の過ごしかた次第で、よい1年になるかもしれません。
その理由を説明する前に、ちょっとしたクイズを出しますので、答えを考えてみてください。


ある病院で、内視鏡検査を受けたAさんは、8分間、強い苦痛を感じました。
次に内視鏡検査を受けたBさんは、Aさんと同じく強い苦痛を感じたあとも、体内にしばらく検査器具を残され、24分もの時間を検査に要しました。

その後、AさんとBさんに、検査中の苦痛について振り返ってもらいました。
さて、どちらが検査について、より大変だったと答えたでしょうか?


正解は、Aさんです。
AさんはBさんの3分の1の時間で済んだのに、なぜBさんより大変だったと感じたのでしょうか?



ノーベル賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマンは、この現象を「ピーク・エンドの法則」として説明しています。
カーネマンは上記のクイズの元になった実験を行い、ものごとの全体的な印象は、「ピーク時」と「終了時」の経験によって決まることを明らかにしました。
AさんとBさんは、ピーク時の苦痛は同じように感じましたが、終了時の様子が違っていました。
Aさんがピーク時の苦痛を感じたまま短時間で検査を終えたのに比べ、Bさんは苦痛のピークが過ぎて少し痛みが和らいだ状態で検査を終えていたため、検査全体としての印象はAさんほど大変だと感じなかったというわけです。

ピーク・エンドの法則は、苦痛だけではなく、快楽にも作用します。
たとえば仕事で苦しいプロジェクトに取り組んでいて、「もうこんな思いをするのは嫌だ!」なんて思うときがあっても、最後に良い成果物を残せたり、成果について人から称賛されたりすると、全体としてよい印象になりやすいものです。

それと同じで、12月をよい形で締めくくることができれば、あとで振り返ったときに、きっと「いろいろあったけれど、よい1年だったな」と感じるはずです。


これまで順調に過ごしてきた人も、いまひとつだった人も、1年をよい印象にするために、あと少しだけがんばりましょう!

illustration:タダトモミ

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