ハウスメイト

  • facebook
  • twitter

社宅の知識

【人事・総務のための福利厚生】《連載⑧》社宅規程の重要ポイント再点検~独身寮の規程

【人事・総務のための福利厚生】《連載⑧》社宅規程の重要ポイント再点検~独身寮の規程

社宅管理のご担当者・責任者の皆さんに、福利厚生に関する情報をさまざまな角度からお届けする「人事・総務のための福利厚生」。
新卒・若手社員の採用難の中で、若手に限定して住宅支援の福利厚生を強化する動きが強くなっています。支援には期限付きの住宅手当の支給や社宅の提供がありますが、今回は、独身寮規程のうち、世帯主が入居する社宅管理規程と異なる留意点を見つけていきます。

独身寮設置の目的

独身寮設置の目的自体は規程には明記されていませんが、若手社員の住宅費負担を軽減することが大きな目的です。なお、独身寮という表記を集合寮ではない住居に対しても用いる企業もあります。さらに集合独身寮では、若手社員同士の交流の場、教育の場としての目的もあります。

入寮資格者

以下のように、通勤時間および年齢で入寮資格を定めています。若手社員以外に単身赴任者も入寮資格を与える規程も見受けられます。なお最近目につく在宅勤務を基本とする企業では、通勤時間での資格判定は除くことになります。

・「30歳未満の独身者で、採用時の自宅および家族の住居から勤務地までいずれも120分以上となる者。ただし入社日から1年間は入寮を留保することができる」
・「原則として35歳未満で自宅からの通勤が不可能な者」
・「独身または単身赴任者で勤務地に住居のない者。独身従業員については原則として35歳未満の者」
・「独身者で現在の住居から通勤が不可能であるか極めて困難である者。単身赴任者については会社から業務の都合で入寮指示のある者」
・「会社従業員たる独身者もしくはやむを得ない事情により家族と同居できない者で会社が必要と認めた者」
・「自宅よりの通勤時間が100分以上かかる入社後5年目以下の者。ただし中途入社社員については28歳未満である者」

寮生の生活管理

若手社員であることから、集合寮においては生活管理も規程に盛り込まれています。

・「寮生は会社の方針、本規程および関連規程を誠実に遵守し、人事部長、管理人、寮長・副寮長の指示に対して積極的に協力しなければならない」
・「寮生は本規程および「寮生心得」を遵守し、相互に協力して秩序ある団体生活を営まねばならない」
・「入寮者は本規程を誠実に守り、寮生活の風紀・秩序を維持し、良識ある共同生活の向上に努めなければならない」

生活管理を円滑にするため、寮自治会を設置する規程もあります。自治会の目的、運営体制さらには自治会の任務を定めています。自治会の任務は寮費の集金・収支管理、行事の主催・運営、寮内規約の改廃等です。

管理人の設置

集合独身寮では管理人が置かれます。寮の管財だけでなく寮生の生活管理までが業務とされています。

・「管理人は、人事部長の指示に基づき、寮長と協力して独身寮の円滑な管理を図り、共同生活の秩序・風紀の維持に努めるとともに、寮生の生活を健全かつ明朗に導くよう心掛けなければならない」
・「寮管理者は、担当部長の指示を受けて、寮内秩序の維持、寮の施設・備品の管理・保全、部屋割りの決定、寮費用の収支事務、給食、警備および火災防止、寮生の保健・衛生の業務を行う」
・「管理人は、担当部長の指示命令に従って寮の管理責任を負う。管理人は寮管理の円滑を図り、秩序を維持し常に寮生の生活を明朗健全ならしめるよう努めなくてはならない。管理人の業務は、寮生名簿・備品台帳の整理・業務報告、建物、付属施設の点検・保全および災害防止、寮生遵守義務の監督指導、寮生の保健衛生および環境の衛生保持、寮生の会社との意志疎通を円滑ならしめるための連絡および報告、寮生の集団生活の管理上必要な世話」

今回掲載したいずれの独身寮規程も90年代が最後の改訂となっていることが多く、積極的な見直しが図られていません。生活管理に関する規程が形骸化している可能性もあります。

可児 俊信

千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授
株式会社労務研究所 代表取締役/福利厚生専門誌『旬刊福利厚生』発行
企業や官公庁における福利厚生制度のコンサルティングを行う。福利厚生や企業年金などをテーマとした著書、寄稿、講演多数。

関連キーワード

SNSシェア

おすすめ記事