【知り隊!会社訪問】 インタビュー

2021年11月15日

キーコーヒー株式会社

代表取締役社長 柴田 裕さん
経営企画部 広報チーム 福角 彩さん

コーヒーのおいしさと楽しさが、もっと広がる100年に

ブルーの背景に黄色いカギをあしらったブランドマークでおなじみのキーコーヒー株式会社。町の喫茶店や家庭の食卓においしいコーヒーを届け、またコーヒー文化の啓発活動にも長年取り組んでいます。2020年に創業100周年を迎えた同社を訪問し、創業からこれまでの歩みと、2世紀企業に向けた意気込みを、柴田裕社長と広報チームの福角彩さんに伺いました。

コーヒーで新しい食文化の扉を開く

柴田:当社は1920年(大正9年)に横浜で創業しました。西欧の文化がどんどん入ってきた時代です。横浜には新しい食文化に憧れる人たちもたくさんいましたが、当時はまだコーヒーに馴染みのない方がほとんどでした。そこで創業翌年にコーヒーを飲みやすくするシロップを販売したところ、当社の最初のヒット商品となりました。

柴田さんは、「だれもがおいしくコーヒーを楽しめるように、皆様と一緒に考えてきた100年でした」と同社の歩みを振り返ります。1955年には、現在まで続くコーヒー教室がスタート。当時は喫茶店を開くようなプロにも正しい知識や技術が浸透しておらず、コーヒーを販売する同社自ら業界の意識向上を牽引したのです。

柴田:創業以来、コーヒー文化の定着と拡大に取り組んできました。キーコーヒーという社名には、「新しい食文化の扉を開く鍵」といった思いも込められているんです。

福角:どなたにも簡単においしいコーヒーを飲んでいただけるように、1997年には「ドリップ オン」という簡易抽出型の商品を発売しました。来年、発売25周年を迎えるロングセラー商品で、カップの上に置いてお湯を注ぐだけで、本格的なレギュラーコーヒーを味わうことができます。

だれもが簡単においしいコーヒーをいれられるように、細部まで工夫が凝らされた「Noi」シリーズの抽出器具。

柴田:2017年には「Noi」という抽出器具のブランドも立ち上げました。

福角:「Noi」シリーズでは、クリスタルドリッパー、グラブサーバー、ドリップマスターケトルの3つのアイテムを展開しており、これらを使えば簡単においしいコーヒーをいれられます。たとえばクリスタルドリッパーは、ダイヤカットに加工された形状にそってお湯が流れることで最適な抽出時間を保て、コーヒーが持っているおいしさを引き出すことができます。

柴田:「Noi」シリーズは機能性だけではなく、キッチンやリビングにこんな器具があれば素敵だな、と思っていただけるようにデザインにもこだわっているんです。

「幻のコーヒー」の復活プロジェクト

同社の100年の歩みを象徴するコーヒーがあります。1978年に発売され、同社を代表するブランドとなった「トアルコ トラジャ」です。
かつてインドネシアのトラジャ地方では、王侯貴族に愛された上質なコーヒー豆が穫れていたといいますが、第二次世界大戦を経て農園が荒廃し、トラジャのコーヒーは幻と呼ばれるようになりました。そんなトラジャのコーヒーの存在を知った同社は、現地の人々と手を取り合って、コーヒーづくりを復活させたのです。

柴田:地元の人たちとコーヒーの生産を再開しただけではなく、コーヒー豆を貿易港まで運ぶための道路をつくるなど、インフラも整えました。やがて定期的にバスも通るようになり、現地には旅行者向けのホテルもできました。現地の伝統的な家屋が観光資源になるなど、コーヒーづくりをきっかけに、地域が賑わっていったんです。

現地で途絶えていたコーヒーづくりの知識や技術を伝えるのも、同社の大切な役割でした。

「KEY COFFEE AWARD」にて、現地の言葉でスピーチをする柴田さん。コロナ禍に見舞われた昨年と今年は、ビデオメッセージを届けた。

柴田:農学の知識を持った当社の社員が現地に赴任して伝えていたのですが、近ごろでは、若い社員が現地の人たちに教わることも増えてきました。現地では、「お父さんの仕事を手伝いたい」と、都会で働いていた子どもがトラジャに戻ってくることも多いようです。そのようにして世代を超えて蓄えられてきた知見を、トラジャコーヒーを一緒につくる仲間たちで共有しているんです。

トラジャコーヒーを安定的に供給するには、直営農園での生産に加え、地元農家の協力も欠かせません。同社では2013年度から、良質なコーヒー豆を生産する地元農家などを招いた「KEY COFFEE AWARD」を開催するなど、現地の人々との交流を大切にしています。

柴田:「KEY COFFEE AWARD」では、よいコーヒー豆を継続的に栽培してくれる生産者などを表彰しているのですが、現地の方々との親交を深める場にもなっています。私は現地の言葉で毎回メッセージを伝えているのですが、たとえカタコトでも現地の方々とコミュニケーションをとることで、おいしいコーヒーを共につくる仲間だという意識が強くなるんです。

「コーヒーの2050年問題」に立ち向かう

次の100年もおいしいコーヒーを提供し続けるために、同社は環境の変化に強いコーヒー豆の開発にも取り組んでいます。

柴田:気候変動をはじめとする環境の変化は、農産物や水産物に大きな影響を与えていますが、コーヒー豆も例外ではありません。コーヒー業界では「2050年問題」と呼ばれており、持続的な生産を可能とするコーヒー豆の開発が急がれています。

コーヒー豆は赤道を挟んだ北緯25度から南緯25度の「コーヒーベルト」で栽培されていますが、気候変動の影響でコーヒー生産の6~7割を占めるというアラビカ種の生産地が2050年に半減するといった予測が出ているのです。
そこで同社は、国際的な研究機関であるWCR(World Coffee Research)との協業を2016年にスタート。気候変動や病害虫への耐性を持つコーヒー豆の開発などに着手しました。

福角:100周年の記念事業として、インドネシアの自社農園で、IMLVT(International Multi-location Variety Trial=国際品種栽培試験)と呼ばれる活動もはじめました。

IMLVTは、WCRが品質の良いアラビカ種を世界中から集めて培養・繁殖させ、各国の生産地で試験栽培をおこなう取り組みで、同社はこのIMLVTをインドネシアの直営農園でおこなっています。

柴田:人間はさまざまな農作物を品種改良して、豊かな恵みを受けてきました。コーヒーをはじめとした果樹は成長するのに時間がかかり、なかなか結果が出ないのですが、これまでの知見も結集して、ぜひとも持続可能なコーヒー生産を実現したいですね。

コロナ禍のなか迎えた101年目の決意

今年5月には、創業から100年間にわたる活動と、明るい未来への思いと決意を表現した、2世紀企業スタートアップムービー「Coffee named Passion」を公開。ムービーに使用している楽曲は、柴田さん自ら作詞・作曲したといいます。

キーコーヒーの社員も登場するムービー「Coffee named Passion」は、同社のYouTubeチャンネルでも視聴できる。※画像をクリックするとムービーをご覧いただけます。

柴田:じつは昨年、創業100周年ということでいろいろなイベントを計画していたのですが、コロナ禍によってすべて中止になってしまいました。世の中に暗い雰囲気が漂うなか、なんとか皆様に元気を出していただこうという思いでムービーをつくったんです。映像だけだと寂しいので、曲をつくり歌詞をつけて、社員の人たちに歌ってもらいました。歌詞のなかに「守りたい」という言葉があるのですが、これは気候変動にさらされているコーヒー産地に対する思いも込めています。

福角:私もムービーの制作に携わったのですが、実際に歌詞にふれたときに、「やっぱりキーコーヒーって、すてきな会社だな」と感じました。今回のムービーは、チャリティ企画として1回の再生につき、10円の募金もおこなったんです。※チャリティ企画は現在終了。

さまざまなテーマで実施されるライブセミナー。10月には「カルチャークラス 企画コース」にてハロウィン編が開催されるなど、季節に合わせたコーヒーの楽しみかたを伝える試みも。

コロナ禍への対応として、長年対面にて運営してきたコーヒー教室も、さまざまな形に進化したそうです。

福角:100周年を機に、「Berangkat(ブランカ)」というセミナースタジオを本社2階につくりました。そこから発信している「キーコーヒー オンラインセミナー」はビデオ配信型で、場所や時間を気にせずお気軽にご参加いただけます。

オンラインセミナーでは、講師がコーヒーを抽出する手元をクローズアップで確認できたり、何度も繰り返し見て学べたりと、ビデオコンテンツならではの強みも多いといいます。

福角:今年の6月にはライブセミナーもはじめました。これはWeb会議サービスのZoomを利用したもので、講師と参加者の方々がネットを介して同じ時間を共有することができます。従来の対面型のセミナーに、オンラインセミナーやライブセミナーが加わり、より多様なニーズにお応えできるようになりました。

一人十色のコーヒー文化に

創業から100年の歩みのなかで、コーヒー文化はすっかり定着しましたが、次の100年に向けて、より奥深く、幅広い展開が見られるといいます。

柴田:コーヒーは「十人十色」ではなく、「一人十色」の文化になってきました。たとえば朝、急いでいるときは簡易抽出のコーヒーをさっと飲み、仕事が終わればドリップコーヒーを楽しむ。休日には甘いケーキを用意して、豆から挽いたコーヒーをじっくり味わう。コーヒーが好きな方は、そんなふうに多彩な飲みかたをしているのではないでしょうか。

京都のコーヒー文化を支える名店として知られる「イノダコーヒ」と「業務提携に向けた基本合意書」を締結し、オリジナルブレンドとモカブレンドの2種類の味わいを楽しめる「京都イノダコーヒ」を発売。「コロナ禍で京都をはじめ観光地への旅行が控えられたなか、全国の皆様にイノダコーヒの魅力が伝わるといいですね」と柴田さん。

福角:私にとって、コーヒーの楽しさは3つあると思っています。1つ目は、自分の好きなコーヒーに出合うために、いろいろな豆のなかから探すという楽しさです。2つ目は、コーヒーをいれる楽しさ。同じ豆を使っても、いれかたを変えるだけで、コーヒーの味はまったく違うものになります。自分好みのいれかたを追求するのも、コーヒーの楽しさではないでしょうか。3つ目は、味わいかたです。コーヒーは普通に飲んでもおいしいですが、パンやスイーツとのマリアージュを楽しむなど、いろいろな味わいかたがあることも魅力だと思います。

柴田:1日に何杯もコーヒーを楽しむ方がいる一方で、まったくコーヒーを飲まないという方もいます。当社のさまざまな取り組みを通して、福角さんのように、コーヒーを選んでいるときから楽しさを感じるような方が増えると嬉しいですね。これからも、コーヒーで新しい食文化の鍵を開くという創業当初からの思いを持ち続け、お客様に感動や楽しさをお届けしてまいります。

 


柴田 裕(しばた・ゆたか)

キーコーヒー株式会社 代表取締役社長
1964年生まれ。横浜市出身。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA課程)修了。
87年、キーコーヒーに入社し、97年取締役、常務、専務を経て、2002年に代表取締役社長就任。

福角 彩(ふくずみ・あや)

キーコーヒー株式会社 経営企画部 広報チーム
2017年にキーコーヒー入社。
2018年から現在の部署にて広報業務を担い、社内報をはじめ各種媒体の制作にも携わる。

 


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