【地域の賃貸慣習】《第８回愛知県編 パート２》愛知県の賃貸契約上の慣習や注意点を分析

本企画では、賃貸管理を主幹事業とする“ハウスメイト”だからこそわかる、地域ごとの「賃貸不動産」の特徴をお届けします！
第８回の愛知県編では、地域の社宅選びに役立つ情報を３つのパートに分けて連載します。

パート２は、ハウスメイトが取り扱った物件の契約データをもとに、愛知県の賃貸契約上の慣習や注意すべき費用について解説します。
※本記事のデータは、2018年1月1日～2022年12月31日までに取り扱った契約データを元にしています。

賃貸契約上の慣習

_{敷金と礼金の傾向}

では、さっそく愛知県の敷金・礼金の傾向を見ていきましょう。
まず敷金は、単身向け物件、ファミリー向け物件ともに２０２１年まで半数以上の物件で発生していましたが、以下のグラフを見てもわかる通り、発生率は減少傾向にあります。
とりわけ単身向け物件は、ファミリー向け物件より敷金の発生率が低く、最新のデータとなる２０２２年では４５％にまで発生率が低減しました。

敷金発生率

敷金が何ヶ月必要かなど、詳細なデータもご紹介しましょう。
以下のグラフに、単身向け物件、ファミリー向け物件の敷金設定の傾向をまとめました。

単身向け物件　敷金の傾向

ファミリー向け物件　敷金の傾向

単身向け物件で敷金が求められる場合、グラフにあるように「１ヶ月」か「２ヶ月」であることが多いでしょう。「３ヶ月」以上が求められることは稀なようです。

ファミリー向け物件も、単身向け物件と同様に「１ヶ月」か「２ヶ月」の敷金設定が多くなっています。単身向け物件は「１ヶ月」の物件が「２ヶ月」よりも多かったのに対し、ファミリー向け物件は「２ヶ月」のほうが多くなっています。また、「３ヶ月」以上の物件の割合も、ファミリー向け物件は少し高くなっています。
一方、敷金を「無し」とする物件は、単身向け物件より少なくなっており、ファミリー向け物件は敷金の負担がやや大きくなりやすいと考えてよいでしょう。

では、敷金の償却（敷引）についてはどうでしょうか。
以下の表にもある通り、償却発生率は７～８％を推移しています。
敷金の償却が発生する物件は、全国的には減少傾向にありますが、愛知県ではあまり動きがないようです。
※敷金の償却（敷引）とは？　こちら「社宅版 不動産用語集」をご覧ください。

敷金償却（敷引）発生

続いて、礼金の発生率を見ていきましょう。
愛知県では５０％前後の物件で礼金が発生しています。
以下のグラフにもある通り、近年は単身向け物件のほうがファミリー向け物件よりも発生率が高くなっており、敷金の発生率とは逆の傾向が見て取れます。

礼金発生率

では、礼金は何ヶ月の設定が多いのでしょうか？
単身向け物件、ファミリー向け物件、それぞれのデータをご覧ください。

単身向け物件　礼金の傾向

ファミリー向け物件　礼金の傾向

単身向け物件では、礼金が必要な場合は「１ヶ月」に設定されることがもっとも多いという結果になりました。
ファミリー向け物件でも、「１ヶ月」の設定が目立ちますが、２０２２年は「２ヶ月」が２４％と大きな割合を占めています。
こういったデータを俯瞰すると、礼金も敷金と同様に、ファミリー向け物件は単身向け物件よりも負担が大きくなりやすい傾向にあるといえるでしょう。

その他注意すべき費用

更新料、更新事務手数料について

物件の契約を更新する際に必要な費用についても見ていきましょう。
更新費用には、更新料と更新事務手数料があります。
２０２１年までは、更新料と更新事務手数料のいずれもかからない物件が半数以上を占めていましたが、２０２２年は全体の４５％にまで減りました。
以下のグラフを見てもわかる通り、更新費用が不要な物件は減少傾向にあるといえるでしょう。

更新費用発生比率

気になる更新費用の金額もチェックしておきましょう。
更新料は賃料の「０.５～１ヶ月」が多く、更新事務手数料は１０,０００円～２０,０００円の範囲が多く１５,０００円が相場です。

契約時に注意すべきポイント

敷金や礼金、更新費用のほかにも、契約時に注意したいポイントはあります。
物件を選ぶ際は、下記の項目も確認しておきましょう。

短期解約違約金

敷金ゼロ、礼金ゼロのいわゆる「ゼロゼロ物件」は、短期解約違約金の設定がある場合が少なくありません。
短期解約違約金は、契約で定められた期間に満たない早期の解約をした際に発生する違約金で、たとえば１年未満で解約した場合は、賃料の「１ヶ月」分の違約金が発生する場合が多いでしょう。
また、賃料の「２ヶ月」分が発生するケースや、ゼロゼロ物件以外でも発生するケースもありますので、注意してください。

２４時間サポート料

２４時間のサポートサービスの加入を必須とする物件もあります。
発生の有無は管理会社による部分が大きく、費用としては月額７００～１,０００円程度が相場です。

消毒代

物件の消毒は基本的には任意となっていますが、ときおり必須とする物件も見かけます。
費用は２０,０００円前後が多いでしょう。

駐車場

最後に、駐車場の費用にも触れておきましょう。
駐車場の費用はエリアによってさまざまですが、名古屋市の中心部であれば２０,０００～３０,０００円が目安で、中心部から離れると１０,０００～１５,０００円が目安になるでしょう。駅から離れると、１０,０００円を切ることもあります。
一方、名古屋市外では５,０００円前後にまで下がります。
※駐車場には、上記の金額に加えて消費税がかかります。

以上のように、パート２では愛知県の賃貸契約上の慣習や注意すべき費用について解説しました。
次回、パート３では愛知県や名古屋で暮らす魅力や注意点をご紹介します。

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