社宅の知識
2025.06.11
【人事・総務のための福利厚生】連載⑥DE&I経営と福利厚生
好評連載中の「人事・総務のための福利厚生」です。福利厚生をわかりやすく解説しますので、人事・総務以外の方にも楽しんでいただけます。
私は、福利厚生専門誌「旬刊福利厚生」を発行する株式会社労務研究所の可児俊信(かにとしのぶ)です。福利厚生の事例の蓄積からたくさんお伝えします。
手伝っていただくのが、ハウスメイトパートナーズ従業員のSさんです。
【前回の記事はコチラ】
S
Sです。よろしくお願いします。この連載では、よく耳にする人事用語を取り上げています。今日はDE&I経営と福利厚生の関係を取り上げます。
可児
DE&I経営は、すこしずつ言葉が変わってきています。もともとダイバーシティ経営といわれていました。多様な属性・考え方・背景を持つ社員がいる組織の方が活性化し、経営面でプラスになるとして、積極的に社員の多様化を図ろうという経営です。
20世紀の頃は、社員は男性、世帯主、正社員、労働組合員という単一の属性でした。それで組織運営が効率的になり、日本企業は成長しました。しかし、製造業からIT・サービスに産業転換するなかで、単一性・同質性が組織の活性化を妨げるようになったのです。
S
ダイバーシティ&インクルージョンという言葉も聞きます。
可児
多様な社員がいるだけではだめで、それぞれの社員がお互いの違いを認めて尊重し合うことで組織が活性化するという踏み込んだ考え方がD&Iです。属性を越えて一体化しようということです。たとえば女性社員は以前から職場にいましたよね。
S
でも20世紀の頃は、勤続年数が短かったり非正規雇用が多かったりで、会社の中心は男性でした。
可児
男女の数的なダイバーシティは以前からありましたが、組織内では男女は分かれたままで、インクルージョンされていない。そのためあえてインクルージョンまで付け加えるわけです。
S
多様性とは具体的には?
可児
社員の属性の多様性でいえば、男女、国籍、人種、年齢、宗教、性的指向が挙げられます。これは社員属性の多様化が進んでいることを示す表です。

S
女性社員の割合は、あまり増えていませんね。
可児
さっき話したように、昔から女性社員はおり、割合は結構高かったのです。でも社内では補助的な役割でした。今は職場の中で中心的な役割を果たすようになりました。ダイバーシティからダイバーシティ&インクルージョンに進もうとしています。
S
非正規社員も増えていますね。
可児
非正規雇用はバブル崩壊して日本企業が赤字に陥る中で、少しでも人件費を減らしたいということで普及しました。当時は人が余っており、待遇が悪くても仕方がないという時代背景でした。高年齢者も増えています。国は人手不足のなかで60歳以降の社員が働ける環境を整備しています。
S
表を見ると、病気治療中の社員って以前から結構いたんですね。
可児
私もこの統計をみたとき、意外でした。社員の1/4,1/3が病気治療中なのかと!今はがん治療は入院だけでなく通院も増えていると聞いています。よって、仕事との両立は可能です。ただし、福利厚生での支援が必要です。フレックス勤務や在宅勤務、週3日勤務などで通院との両立、体力との両立に気を遣うようになっています。また、フルタイムで働けなくなる場合、給与がその分少なくなりますので、所得補償の福利厚生も欠かせません。
S
D&Iを支えるのが福利厚生ですね。
可児
人材戦略を支え、実現するのが福利厚生です。LGBTはこれまでは統計さえなかった。現在、同性婚は、企業の対応も進んでいますね。同性パートナーでも配偶者とみなして、慶弔給付や手当の支給対象としています。2023年にはLGBTに法整備がされましたが、企業内の動きはまだまだ十分ではありません。
S
LGBTのT、トランスジェンダーは、また別の難しさがあります。
可児
職場ではトイレや更衣室、健康診断で問題になっています。男女共通の制服やビジネスネームの使用もみられます。また、働き方の多様性では、正規社員・非正規社員といった雇用形態がありますね。
S
非正規社員は「同一労働同一賃金」と言われるようになって、「正社員とは別の働き方なんだ」と改めて気付きました。
可児
そうなんです。他の社員が自分とは違うということに意外と社員は気づかない。よって知らないうちに、無意識の差別をしていることがあります。そこで出てきたのが、DE&I経営です。Eはエクイティで、公平性です。無意識の差別に気付かないと、せっかくのD&Iが形だけになるからです。
S
ダイバーシティという考え方を企業に定着させるには、いろんなことを整備する必要があるのですね。
<次回へ続く>
可児 俊信
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授
株式会社労務研究所 代表取締役/福利厚生専門誌『旬刊福利厚生』発行
企業や官公庁における福利厚生制度のコンサルティングを行う。福利厚生や企業年金などをテーマとした著書、寄稿、講演多数。
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